1

1-20.バランスを

20.
心が弱ると身体に病として現れてしまう。
身体が弱ると気持ちも滅入る。
心と身体は繋がる。
だから、程よい位置でバランスを保つ。
自分の心と身体に耳を傾けて、ケアを。
自分を知ることでバランスが保たれる。



お腹も満たされ、心地よくなりいつの間にか眠ってしまっていた。
あたたかい風をフワッと感じて
目を開けると、白い木と風がいた。

〔ここにいたんだね〕
風が微笑みながら言った。

『私、寝てしまって…た。
 あれ?アナタはいつきたの?』

〔さっき着いて、白い木と話をしにきたら
 キミがいたんだ。
 とても気持ち良さそうにねていたから
 起こさなかったんだ〕

『そうだったの。ありがとう。
 心地よくて、いつの間にか
 寝てしまっていたみたい。
 ごめんなさい。』

白い木は優しく微笑みながら話し始めた。
「いいの。それでいいの。
 体は正直。
 気持ちが大丈夫だと思っても、
 身体がおいついていなかったんだね。
 心と身体のバランスを
 みんな見失いやすいみたい。
 だから、気持ちで大丈夫だと思っても
 身体はどう?と聞いてあげないとね。
 気持ち優先にして、
 後回しにされた身体は
 いつか悲鳴をあげてしまう。
 休める時には休んでバランスを
 とっていかないと。」

『なるほど。確かにそう。
 前に進む事しか考えてなかったから
 歩き続けて身体が疲れ始めてた事には
 気づけてなかった』

〔皆、そうなんだ。
 まだ頑張れると言うけど、
 頑張るには身体が無いと頑張れないのに
 少しの疲れでは休もうとしない。
 心が疲れると直ぐ休むのにね〕
そう風は言った。

『そうかも。
 怪我や病気は分かりやすいけど
 身体はよっぽど疲れたぁ。
 と感じないと、まだ出来るという
 気持ちを優先してしまうかも。
 ココまで来る時の私のように』

「休める時には休んだ方が
 質の良い考えも浮かぶし
 身体の調子も一定でいられるようね。
 要はバランスが大切だと思う。
 心と体のどちらも下がり過ぎないように
 一定のバランスを
 保ち続けられるようになれたら、
 皆いきやすいと思う」
 
『一番理解しなきゃいけない自身の事って
 なかなか理解しきれて無いもんだね。』

〔皆も同じように言う、
 皆、簡単な事を
 少し難しく考え過ぎてしまうみたいで、
 もっとシンプルな事が大切なのに。
 それが分かると身軽になって
 歩みやすくなるのになぁといつも思う
 何より心も体も喜ぶしね〕
風はいつも大切な事をサラリと教えてくれる

『そうかも。ありがとう。
 それが出来るように、まずは
 自分のことを理解してみる。
 うん。ありがとう。』

白い木も風も優しく微笑み頷いた。

1-19.食べれるしあわせ

19.
食べる事は生きること。
全ての恵みに感謝して、
衣食住がある有り難さを今一度知る。
足りている事を知り、
それがどれだけ恵まれているかに
気づける事が大切。



時間がたつにつれ
お腹が空いてきたなと感じて思い切って白い木に聞いてみた

『わたし、お腹がすいてしまって…何か木の実や果実が有れば分けて貰えないかな?』

「そうだったの。勿論いいよ。
 好きなだけ食べて」
白い木はそう言って枝を揺らし沢山の果実を落としてくれた。

『ありがとう』
私は有り難く頂いた。食べてるとお腹が満たされていくのと、気持ちも元気になっていくのを感じていた。

白い木は優しく見守りながら言った。
「食べる事で、身体が満たされて心も満たされていくようだね。
皆が食べてる時、とても幸せそうなんだよね。それに食べ終わってからも。」

『うん。分かる気がする。
 お腹がすいてると力も湧かないし、
 気持ちも元気なくなる』

「身体と心が繋がっているって事だね」

『そうだね。飲んだり食べたりする事って本当に大切なんだね。
生きるには食べる事が基本。
食べる物があるのは本当に幸せ。
ありがとう。』

「うん。わたしはいつもココや雨から水を貰っているから、有り難い事に枯れる事なく居れてる。いつも満たされている。
だけど、当たり前じゃないってことだね』

『そうかもね。わたしは運良く風に出会い、ココを教えて貰い、水を口にする事もできたし、あなたにも出会えたから、食べる事ができた。
生きるには源が必要だから、
私が飲食をできなければ、
まずは食べること、飲むことを
優先して動かなきゃならないから
他の何かを考えたり、何かをしようという余裕すら無いと思う。』

「そうだね。生きる事が優先。
それは全てにおいて言えることだね。
そう考えるとわたしは恵まれている。
こんなに綺麗な湖から絶え間なく生きる源の水を頂けてるんだからね」

『うん。満たされてる時って有って当たり前だと思って気づかないけど、無いとその有り難さが身に染みる…水ってこんなに美味しいんだって思えたし、果実がある事が有り難くて凄く美味しくて。
食べる事で気持ちも元気になれたよ。ありがとう』

「いいえ、私は水の恵みを頂いて、太陽の恵みを頂いてる。だから私もその恵みを分けてるだけ。そうやって、分け合えば分けてくれた水や太陽も喜ぶでしょ」

『そうか…巡り巡って皆が幸せな気持ちになれるんだね』

「そうだね。」

1-18.想い合う

18.
他を想える気持ちは、自分を想うにも繋がる。
自分よがりではなく、他の幸せを願う事で
自分も他から幸せを思って貰える。



白い木の話しを聞きながら
それで白い木は平気なのかと思い
思わず聞いた
『え?でも寂しくないの?』

 「寂しさより、嬉しさが勝るかな…
 個々の幸せは何かは、
 それぞれにしか分からないから。
 皆がそれぞれに幸せを掴めたら
 それが一番。」

『…凄いね。そこまで想えるんだ。』

 「何も凄くないよ、、
 だって例えば、
 寂しいからココにずっと居てと
 お願いして居てくれたにしても
 他でやりたい事や
 やるべき事があるモノにとっては
 苦痛でしかないでしょ?
 居たくているんじゃないから
 ソレはいつか心が壊れてしまう。
 わたしの思いをただ押しつけてる
 だけでしかないものね。
 勿論、居たいと思うなら
 どれだけ居てくれても
 良いとは思ってる。
 好きなだけ居て、
 行きたい時に歩み出せば
 ソレで良いと思ってるんだ。
 わたしがココに居る事で
 皆のチカラとなれたら幸せなことだと
 わたしは思ってるから」

『そう…やっぱり凄いね。
 周りを先に想えるって凄いよ。
 先に自分の事を考えてしまうものだから』

「たぶん、わたしはココに居る事が
 幸せだと思えてるからじゃないかな?
 先に自分の幸せが何か分かってるから
 周りにも幸せであって欲しいと
 思えるのかもしれないね」

『そうなんだ~。わたしは何だろ?
 わたしの軸になる幸せは何だろ?』


「ココにもソレが何かが分からない…と
 来るモノもいるけど…
 答えを見出すのは個々だから。
 それを探すために
 ココから歩き出す後姿も見てきたよ。
 そして、ソレを見つけたと
 ココに嬉しそうに教えに来てくれる
 自信に満ちて戻ってきた姿も
 沢山みてきた。
 だからアナタもきっとそうなるよ」

『ありがとう。
 わたしはいま何かを探している
 途中みたいだから、
 とにかく前に歩み続けてみるよ。
 ありがとう』

「そうね。色々な所に行って、
 色々な事に触れ、出会い、
 沢山吸収する事が大切ね。
 そして、いつか何かを掴んだら
 わたしにも沢山の出来事を
 話して聞かせてね。」

『うん。そうする。ありがとう』

「えぇ。そうして。
 その時の事を考えたら
 わたしもワクワクしてきた!
 楽しみでしょうがない!!」

『ありがとう、そんなふうに
 自分の事のようにわたしを想ってくれて
 ありがとう!』

1-17.歩み出す力

17.
立ち止まるを選択する事は悪くは無い。
また歩む糧になる。
どこかで必ず誰かが見守り応援してくれているのだから。
大丈夫。
休んだらまた歩み続ければ良い。



『ココには沢山がいると話してくれてたけど、皆も休みにココに来てるの?』

「理由は様々だけど…休憩したり、
 からだが疲れてたり、心が疲れてたり、
 喉が乾いていたり、眠りたかったり、
 お話しをしに来てくれたり
 ただわたしに会いに来てくれたり
 色々な理由があってココに来てくれてる」
 
『そうなんだ』

「皆、それぞれに理由は違うけど
 どんなに疲れたり弱って来ても
皆が立ち上がりまた歩む姿を
見せてくれたの。
 それぞれに歩み出すまでに
 要する時間は違うけど、それでも
 皆ちゃんと歩み出す。
 ココから歩み出す後姿を見るのが
 わたしとても好き。
 凛として誇らしくて、とても好き』

白い木は輝きながら話してくれた

『素敵な事だね』

「うん。とても素敵なこと。
わたしを毎回幸せな気持ちにしてくれる」

1-16.一期一会

16.
少しの歯車の違いで、
出会えたり出会えなかったりする
だからこそ、良い出会いも悪い出会いも意味があると知れたら、その相手を想える。
よく無い出会いは学びと捉え、
考え方一つでどんな出会いも
無駄にせずに大切に出来れば、
良い出会いに想える。




どの位いたのだろう…
白い木の側は居心地が良かった。

『ココはとても居心地が良いね』

「そうみたいなんだ…
 何故か皆がそう言ってくれる」
白い木は嬉しそうに微笑んだ

『何故か優しく包まれてる気がして、
 安心していられるんだよ。
 何かしてるの?』

「ん~?何も特別な事はしてないよ。
 ただ、ココに来てくれた事に
 感謝はしているよ。
 何かのキッカケで
 ココに来てくれたんだと思ったら
 何か意味があるのだろうから。
 有り難い事だと感謝の気持ちで
 皆に接してる。
 アナタにも感謝してるよ。
 だって、少しの歯車が違えばココには
 来てなかったかもしれないでしょ。
 だけど今こうしてココに居る。
 それは出会うべくして
 出会ってるんだと思うんだ。
 だから、とても有り難い事。
 来てくれてありがとう」
白い木は優しく微笑んだ

『そうだね。その通りだね。
 こちらこそ有難う。
 こうして私に必要だから
 アナタに私も出会えたんだね』

私達は、互いにあたたかい気持ちに満たされているのが分かった。

『居心地が良いと思えたのは
 アナタに感謝されて
 大切に接して貰ったから
 居心地が良かったんだね』

「そうなの?それは当たり前の事だと
 思ってたから…
 それが良い事なら良かった」
白い木はまた優しく微笑んだ。

1-15.共感

15.
自身の感じた事や思った事を
他の誰かと共感できた時
答えあわせが出来た感覚となり
安心出来る。



白い木に寄りかからせて貰って綺麗な湖を眺めながら、私は白い木と話しを続けた。
『この湖は本当にキレイ。
 さっき、水の精達と話しをして
 キレイな理由を教えて貰ったの』

「えぇ、さっき見ていたわ。
 水の精達は、いつも楽しみながら
 動いているから、ココに来る皆んなを
 元気にするのよ。素敵なことよね。」

『そうなの!私もいつの間にか
 笑顔になっていたみたいで、
 気持ちもほぐれていた』

「そうだったの。
 あなたも元気になれて良かったわ。」

『そういえば、ココに来る前にも
 草原の木に出会ったわ。
 そこでもこうして休ませて貰ったの』

「そうだったの。
 それは草原を見守る木の事ね。
 私達は移動が出来ないから、
 風や大地や鳥達や皆が、様子を伝えて
 くれたり、伝言をしてくれるのよ。
 だから、互いの事を
 知る事が出来てるの」

『会って話してみたいとは思わないの?』

「知ってしまうと…
 会って話してみたいとは
 思った事もあるけど、
 それは出来ない事だと理解しているし。
 その分、こうして皆が教えてくれて
 皆と話せる機会が増えている。
 だって、皆が教えてくれなければ
 どこにどんな木が居たかということすら
 知る事が出来なかったんだから。
 話してくれる皆に
 感謝の思いしかないわ』

『そうだったんだね…
 最初に知らなかった事を思えば、
 知る事が出来た。のだから
 良かったんだよね。』

「そうね。その気持ちを忘れてしまうと、
 移動が出来ない事に
 不満が出てしまうから
 忘れてはいけない気持ちなの。
 最初の大切な気持ちなのよ。」

私が風と離れて思った気持ちと同じような想いだな、と感じながら聞いていた。

1-14.思い込み

14.
思い込みは、自身の幅を狭め、
時には他の何かを傷つけることもある。
大きな視野をもち受け入れていく事で
知識も増え自身も豊かになれる。




少し幸せな気分を味わいながら
また立ちあがり歩き始めた。

木までは少し距離があった。
木は綺麗な白い色をしていて、
フンワリとした光をまとってるように見えた。
私の中で知る木のイメージとは少し違うように感じながら歩いていた。

木は茶色の幹や枝で緑の葉が私の持つイメージだったので、
何だろう?近づいて大丈夫かな?
モヤがかかってるだけかな?
と、何となく不安になった。

近づいて木を見ると綺麗な白だった。

私は少し距離をとって
何で白いんだろう?
という思いで眺めていた。

木が私に気づき
「どうしたの?
 近くに来てお話しをしましょう」
 と、優しく話しかけてくれた。

私は、思わず
『あなたは、なぜ白いの?病気なの?』
と聞いた。

「え?どうして?」木は笑いながら聞いた。

『だって白いよ』

「そうよ。ワタシは白いのよ。」

『だから何故白いの?
 普通と違うから気になって…』

「ワタシは白い木なのよ。
 白がワタシの普通なのよ。
 他の色じゃなく、白がワタシなの。
 だから理由を聞かれても…
 ワタシはワタシだから。だから白いの。
 としか答えられないわ」

木は笑いながら答えてくれた。

『そう…じゃ、病気でも何でもないの?』

「えぇ、そうよ。
 私は白い木。ただそれだけよ。
 あなたが勝手に木は白じゃないと
 思い込んだだけかもね。
 この地にはあらゆる形や色の
 沢山のモノがいるのよ。」

『それなら良かった。安心した。
 私の勝手な思い込みで、
 失礼な事を聞いてごめんなさい。』

「いいのよ。
 アナタが知っている中には
 無かった事なんだから。
 でも良かったわ。
 これでアナタに一つ
 新しい考えが追加されたわね」

『そうだね。』
そう話しながら私達は笑いあった。

1-13.笑顔

13.
気持ちは伝染する。
周りにも影響している。
明るい気持ちも、暗い気持ちも
楽しい気持ちも、つまらない気持ちも。
いま居る環境や周りの様子を見れば
自分がどんな気持ちを
周りに振り撒いているかが分かる。




水の精達は楽しそうに水面を駆け巡り水と
たわむれている。
楽しそうな様子に惹かれて、私はその場にまた座り込み眺めていた。

水の精達がまた近寄ってきて
「ねぇ、ねぇ、何か楽しい事あったの?」

『え?なぜ?』

「だって、ずっと笑顔だよ。
何か楽しい事あるなら教えて、教えて』

『え。笑ってた?』

「うん。笑ってたよ」

キラキラとひかる水面を楽しく駆け巡る姿をただ見てるだけで
こちらも笑顔になっていたようだ。

『それは、きっとアナタ達が楽しそうにしていたから、その気持ちが伝わって
いつの間にか楽しい気分になって笑顔になってたのかも』

「そうなの?」

『うん。そうみたい』

「そうなんだー。」
そう言って私達は笑いあった。

特別な何かをしている訳ではないのに
楽しくしている姿を勝手に眺めていただけで、私も楽しい気持ちが芽生えて笑顔になれていた。

1-12.過程を思う

12.
過程を思う事で大切にできる。
目の前にただ有るのではなく、そこにたどり着くまでの過程を考えてみる事で見方が変わる。


草原の中に大きな湖が見えた。
見渡しても風は見当たらなかったから
とりあえず私は
湖の反対側に見える大きな一本の木を目指そうと水のほとりを歩いた。
歩きながら湖をフト覗くと
水が澄んでいて底まで透き通って見えた。

『綺麗な水…』

私はそっと手ですくい水を口にした。
甘くて優しい味がして体が満たされた。
水を飲み終えて、顔をあげ水面をみると
水の上を小さく動く姿が見える…
何だろう?と目を凝らし見つめていると
何かがコチラに向かってくる。

「ねぇ、ねぇ?
アナタが風の精と一緒にきたの?」

『そうだよ。あなた達は何?』

「私達はね、ココの水の精。
綺麗な水を保って守っているの。
水は沢山の生命の源。
私達はとても大切な役目を任せられてるの。
みんな水がなければ生きれないでしょ?
だから皆にキレイな水が行き渡るように私達は役目を果たしているの」

『そうなんだ。あ、ごめんなさい…いま勝手に水を飲んでしまって…あまりにも綺麗な水だったから、つい…ごめんなさい』

「いいんだよ。みんなのものだからね。
必要だからココにあるんだから、飲んで貰って良いんだよ」

『そう言って貰えたら良かった。
美味しい水だったよ。ありがとう』
と、私はお礼を伝えた。

「そうやって感謝されたら嬉しい。
私達のしてる事が認められて嬉しいよ。
ありがとう。」
水の精は、そう言い喜んでいた。

『それにしても、本当に綺麗な水だね』

と、湖を眺めながら私は呟いた。

「そうだよ。水はね、沢山旅をしてココに今あるんだよ。
大地にいた水は太陽の力を借りて空に昇り、雲に変わり、雨となるんだ。
再び大地に降りてからも、沢山の力が加わっているから綺麗な水となっているんだよ。
だから、ただココにある訳じゃないから綺麗なんだ。
私達もソレを知って欲しくてこうして伝え続けてる。
それを知った皆が、こうして大切に扱ってくれてるからこそ綺麗に保たれているの。」

『私が飲ませて貰った水に、
そんなに沢山関わっているの?』

「そうだよ。最初からココにある訳じゃないよ」

『その関わりやココに至るまでを思ったら、
もっと大切に感謝して飲まないといけなかったね。』

「大切に思って貰えるだけで、水に関わった全てが喜ぶよ。ありがとうと、大切に使おうと、そう思ってくれるだけで、私達は嬉しい気持ちになれるんだ」

水の精達は、笑顔で教えてくれた。

11.忘れかけてた気持ち

11.
出会いや側に居てくれてる事は
当たり前の事ではない。
とても有り難いことなのだと思って過ごせたら
周りとの関係も変わり始める。




少し歩くと大きな湖のようなのが見えた。

「あの水場で休もう。僕は先に行って皆に挨拶してくるね」

風はそう言って私が返事をする間もなく
行ってしまった。

私は、え?という戸惑いと、少しの不安をおぼえていた。ポツンと1人になった感じがした。
私は次第に、
あれ?私は何で不安になってるんだろう?と
不思議に思えてきた。

はじめは1人だったんだから
不安になる必要はないのに…
今ある不安は何だろ?と考えていた。

ココまでの道のりは、
孤独ではなかったし、先への不安も風と一緒なら大丈夫だと思えてて、
いつの間にか風が居てくれる事で不安が減って、
1人では無いことで心強さを風から貰っていたようだ。

いつの間にか風が居るのが当たり前になり、
楽しくて忘れていたけど
風ともいずれ違う道を歩むのだから…
今の一緒にいる時間を大切にしよう。

この出会いや側に居てくれてる事は
当たり前の事ではなくて、
とても有り難いことだった、最初の気持ちを忘れかけていた…
私は心が温かくなるのを感じながら風の後を追った。